5.簡便法による地震動評価

 簡便法により、中央構造線断層帯(金剛山地東縁−和泉山脈南縁)の地震を想定した地震動予測地図を作成する。

5.1 計算条件と計算方法

 2章に示した地震動予測地図作成領域すなわち

東経134.0°〜136.5°   北緯33.5°〜35.5°

において、4章で設定した中央構造線断層帯(金剛山地東縁−和泉山脈南縁)の地震を想定した断層モデルを用いて、簡便法(付録A参照)により地震動を評価し、地震動予測地図を作成する。簡便法は、設定した断層モデルに対して、司・翠川 (1999) の距離減衰式により各地の工学的基盤での地震動の最大値を評価し、藤本・翠川 (2003) に基づく表層地盤増幅率を考慮して地表での地震動の最大値を評価し、翠川ほか (1999) を適用して計測震度を評価する方法である。
 本検討では、工学的基盤(S波速度 400 m/s 相当)での地震動の加速度最大値分布・速度最大値分布、および、地表での地震動の速度最大値分布・計測震度分布を求める。
 図5.1-1に、工学的基盤(S波速度 400 m/s 相当)から地表に至る表層地盤の増幅率を示す。

5.2 計算結果

 5.2.1 簡便法基準地盤での計算結果

 図5.2-1に、簡便法により評価された工学的基盤(S波速度 400 m/s 相当)での地震動最大加速度分布を示す。
 図5.2-2に、簡便法により評価された工学的基盤(S波速度 400 m/s 相当)での地震動最大速度分布を示す。

 5.2.2 地表での計算結果

 図5.2-3に、簡便法により評価された地表での地震動最大速度分布を示す。
 図5.2-4に、簡便法により評価された地表での計測震度分布を示す。断層面から近い大阪平野の南半分から奈良盆地にかけてと、和泉山脈付近、紀ノ川流域、および、淡路島東岸の一部では、計測震度が6弱となり、沿岸部で表層地盤の増幅率の大きな一部の地域では、計測震度が6強となった。

 5.2.3 詳細法による地震動計算領域の設定

 簡便法により評価された地表での計測震度が6弱以上となる地域を概ね含むように、かつ、可能な限り三次元盆地構造が内包されるように、詳細法による地震動計算領域を設定した。北端は概ね大阪平野の北端が入るように、東端は概ね奈良盆地の東端が入るように、南端は概ね和歌山平野の南端が入るように、西端は概ね淡路島東岸の低地が入るように、それぞれ最大限考慮した。
 図5.2-5に、詳細法による地震動計算領域(矩形領域)を示す。詳細法による地震動予測地図作成領域は 東西115 km × 南北100 km の矩形領域で、東西方向をx方向、南北方向をy方向とする直交座標系で扱い、領域の四隅のx座標とy座標(単位:km)およびそれらの計算機上での東経と北緯(単位:度)を併記すると次のようになる。

 x [km]   y [km]  東経 [deg] 北緯 [deg]
0 0  134.700000   34.900000 
115 0  135.949429   34.900000 
0 100  134.700000   33.998615 
115 100  135.949429   33.998615 

 次章では、この矩形領域において、詳細法によりCase 1とCase 2の地震動を計算し、地震動予測地図を作成する。


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