4.2 断層パラメータの設定

 表4.1−2表4.1−3 に示した各パラメータの設定方法を以下に詳細に述べる。

 4.2.1 巨視的断層パラメータの設定方法(図4.1−3のステップ2)

 巨視的断層パラメータは以下の通りに設定した。

 (1) 地震モーメント

  •  入倉・三宅(2001)の断層面積と地震モーメントとの関係式を用いて断層面積から求めた。

 (2) 静的応力降下量

  •  無限媒質中の円形クラックの静的な応力降下量(Eshelby, 1957)とした。
    ここで、

 (3) 平均すべり量

  • 次式により算出した。
    (4.2-1)
    ここで はせん断剛性率。

 (4) 短周期レベル

  • 壇・他(2001)の経験式により算出した。

 4.2.2. 微視的断層パラメータの設定方法(図4.1−3のステップ3)

 (1) (b)中部単独の場合

  1. 全アスペリティの総面積
     全体の断層面積 を円形置換した場合の等価半径を として、(4.2-2)式により全アスペリティの等価半径 を求め、(4.2-3)式により求めた。
    (4.2-2)
    (4.2-3)
    ここで、 は短周期レベル、 はS波速度、である。
  2. 全アスペリティの地震モーメント
     全アスペリティの平均すべり量 を断層全体の平均すべり量 の2倍として、次式により求めた。
  3. 全アスペリティの静的応力降下量
     Boatwright(1988)および壇・他(2001)に基づき次式により求めた。
    (4.2-4)
    ここで、
  4. 各アスペリティの面積
     全アスペリティの面積を石井・佐藤(2000)に従い、2:1の割合で配分した。
  5. 各アスペリティの地震モーメント
     全アスペリティの地震モーメントを各アスペリティの面積の1.5乗に比例して配分した。
  6. 各アスペリティ平均すべり量
     各アスペリティにおいて、(4.2-1)式の面積と地震モーメントとの関係から求めた。
  7. 各アスペリティの実行応力
     全アスペリティの静的応力降下量と概ね等しいとした。
  8. 背景領域の平均すべり量
     次式により求めた。
  9. 背景領域の実行応力
     次式により求めた。

 (2) (d)中部・南西部同時の場合

  1. 全アスペリティの総面積、静的応力降下量
     (4.2-3)式および(4.2-4)式により求めた。
  2. セグメントごとの地震モーメント
     総地震モーメントをセグメントの面積の1.5乗に比例して配分した。
  3. セグメントごとの平均すべり量
     各セグメントにおいて、(4.2-1)式の面積と地震モーメントとの関係から求めた。
  4. セグメントごとの短周期レベル
     総短周期レベルの自乗をセグメントの面積に比例して配分した。
  5. セグメントごとの全アスペリティ面積
  6. この他の諸パラメータ
     セグメントごとに全アスペリティ面積、が配分されたあとは、1セグメントの中部単独の場合とパラメータの設定方法は同じ。ただし、南西部セグメントについては、アスペリティが1つなので、全アスペリティと等しいとする。

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