4.2.3. ハイブリッド合成法
ハイブリッド合成法は、短周期領域と長周期領域においてそれぞれ求めておいた2
つの計算結果を合成して広帯域地震動を評価する方法である(例えば、川瀬・松島,
1998 ; 佐藤・他, 1998 ;入倉・釜江, 1999)。ここでは、短周期側では統計的グリーン関数法、長周期側では三次元有限差分法により求めた 層上面での時刻歴波形を用いる。合成は、ある周期(接続周期)を中心とするコサイン型フィルタの組み合わせによるマッチングフィルタを用いて時刻歴波形をフィルタ処理し、時刻歴で重ね合わせて行う。三次元有限差分法により周期1.3秒までの計算を精度よく行うことが可能であることから、ハイブリッド合成法によるマッチングフィルタの中心周期を1.5秒とした。図4.2−5 に、用いたマッチングフィルタを示す。統計的グリーン関数法により計算された波形のロールオフ周期、カットオフ周期はぞれぞれ、1.07
秒、2.5 秒であり、三次元有限差分法により計算された波形のロールオフ周期、カットオフ周期はぞれぞれ、2.5
秒、1.07 秒である。
4.2.4. 表層地盤増幅特性と地図作成方法
の層が存在する計算ポイントでは、 層上面でのハイブリッド合成波を入射波とした 層上面での合成波をS 波の1次元重複反射理論により計算する。表4.2−2〜表4.2−6 に示したように、計算波形を表示する5地点のなかでは開北橋(DKHB)と石巻気象台(JISN)で 層が存在する。なお、 の層が存在する計算ポイントでは 層上面での合成波を「詳細法工学的基盤」で合成波、存在しないポイントでは 層上面での合成波を「詳細法工学的基盤」での合成波と呼ぶ。
4.2.5. 時刻歴波形とスペクトルの表示方法
図2−1 の5 地点での時刻歴波形及び減衰定数5%の加速度応答スペクトルを表示する。東北大については、経験的地盤増幅率(佐藤・他,
1994b, 1994c)を用いた場合の計算も行なった。開北橋と樽水ダムについては、 層以浅の層をはぎとったものも計算した。これは、開北橋の強震観測点は 層にあること(建設省土木研究所、1983)、樽水ダムの強震観測点のS 波速度は不明であるが、監査廊というダム底に設置されている(建設省土木研究所、1983)ためである。図4.2−6 には、表4.2−2〜表4.2−6 の1 次元地盤モデルを用いた地震基盤から「詳細法工学的基盤」までの1 次元地盤増幅率を示す。東北大では経験的地盤増幅率を、開北橋と樽水ダムでは地震基盤から 層上面までの増幅率をあわせて示す。東北大での一次元理論地盤増幅率と経験的地盤増幅率には大きな違いがある。
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