B.3 ハイブリット合成法
ハイブリッド合成法は、短周期領域と長周期領域においてそれぞれ求めておいた2つの計算結果を合成して広帯域地震動を評価する方法である(例えば、川瀬・松島,1998
;佐藤・他,1998 ;入倉・釜江,1999)。この手法の特徴は、地盤や断層の不均質性の影響を受けにくく波動モデルで説明可能な長周期地震動を物理モデルに基づいて理論的に計算し、逆に地盤や断層の不均質性の影響を受け易く統計的にしか説明できない、もしくは理論的な計算効率が悪い短周期地震動を統計的に計算することである。ここでは、短周期側は統計的グリーン関数法、長周期側は三次元有限差分法により求めた工学的基盤上面での時刻歴波形を用いる。合成は、ある周期(接続周期)を中心とするコサイン型フィルタの組み合わせによるマッチングフィルタを用いて時刻歴波形をフィルタ処理し、時刻歴で重ね合わせて行う。両領域を接続する周期は、地下構造データや振動特性、差分法計算に用いる計算機の能力を考慮して決定する。短周期成分はハイパスフィルタ処理を、長周期域成分はローパスフィルタ処理を行った後、両者を重ね合わせて接続する。両フィルタとも接続周期 で0.5となるコサイン型(-90°〜90°)で、 /1.4〜 /0.6の周期幅で1から0に減衰する。
|