3.2　対象地域の地質環境

　対象地域は、西南日本本州弧（ユーラシアプレート）と東北日本本州弧（北米プレート）が会合する地域で、通称北部フォッサマグナと呼ばれる地域の西半部にあたる。フォッサマグナの西縁は、北部から神城盆地、松本盆地、諏訪盆地を経て甲府盆地に至る構造盆地が並び、新生代鮮新世末以降に糸魚川－静岡構造線の活動の場が移動したことによって形成されたものと考えられている（例えば、松本市教育委員会(1983)、図3.2-1）。また、これらの構造盆地の縁辺にある断層群は、最近数10万年以降も繰り返し活動しているものが多く、糸魚川－静岡構造線活断層系として地震防災上の観点から注目されている（例えば、奥村ほか(1995)）。

　北部フォッサマグナは新第三系～下部第四系から構成され、ほぼ北東－南西方向をとるいくつかの構造線（断層）によって帯状区分される（例えば、小坂(1984)、図3.2-2参照）。それらの帯状構造は北西側から順に、西頸城帯（隆起部）、水内帯（沈降部）、中央隆起帯（隆起部）、小諸陥没帯（沈降部）と呼ばれ、それぞれ特徴的な地質構成からなり、図3.2-3に示すような形成過程が復元されている。

　この北部フォッサマグナ地域では、これまでに幾つかの大規模地震波探査が行われており、その結果に基づいて図3.2-4に示すような地質断面図が描かれ、糸魚川－静岡構造線を始めとする構造線によって先第三系基盤岩類が数1000m程度食い違っていると推定されている（Kato(1992)など）。

参考文献

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