3.4.3 その他の地震のうちグループ1の地震
A. モデル化方針
(1)基本方針
試作では暫定的に、損害保険料率算定会(2000)の地震危険度評価で用いられた113 の主要活断層のうち98 活断層帯に対応しない11 断層と、その他の145 の活断層のうち98活断層帯に含まれる34 断層を除いた111 断層を合わせた122 断層をモデル化対象とする。表3.4.3-1 にその一覧を示す。損害保険料率算定会(2000)の地震危険度評価では松田(1995)の主要起震断層を中心に整理した主要な活断層(113 断層)に加えて、「(新編)日本の活断層」(活断層研究会(1991))に松田(1990)の起震断層の基準を適用して単独の長さが10km 以上となる145 断層をモデル化しており、各断層の諸元が一覧表で示されている。
最近、松田他(2000)により新しい起震断層のリストが提示されており、将来的にはこうした他の情報も取り入れた上で、その他の地震のうちグループ1の地震に対応する活断層のモデルを見直していく必要がある。
(2)地震発生確率の設定
活断層における地震発生確率は損害保険料率算定会(2000)の地震危険度評価で用いられている手法により算定された発生確率をそのまま用いる。その基本的な考え方は、活動履歴が明らかな場合は活動間隔が対数正規分布に従う更新過程でモデル化し、活動履歴が不明な場合にはポアソン過程でモデル化している。
(3)マグニチュードの設定
活断層で発生する地震のマグニチュードは基本的には料率算定会の地震危険度評価で用いられているマグニチュードをそのまま用いる。基本的には断層長さから松田式(松田(1975))でマグニチュードを定めている。
(4)断層面の設定
料率算定会の地震危険度評価で用いられている断層面をそのまま用いる。基本的には1枚もしくは複数枚の鉛直の矩形面である。なお、98
の主要活断層帯のモデル化方針を踏襲して、断層の幅は一律15km とするが断層長さが15km
未満の場合には断層長と等しく設定する。また、断層上端深さに関しては一律3km
と設定する。
(5)活動区間
基本的には個々の活断層モデルの全区間が同時に活動すると考える。
B. グループ1の地震に対応する活断層の中で試作に用いるものの諸元
(1)概要
その他の地震のうちグループ1の地震に対応する122 の活断層の中で試作に用いる活断層を図3.4.3-1 に示す。活断層の抽出範囲は、試作領域の外周を東西南北各1 度以上拡げた範囲である。この範囲に含まれる活断層は全部で54 断層である。
(2)活断層の諸元
上記54 の活断層の地震発生確率とマグニチュードを表3.4.3-2 に示す。
- 参考文献
- ・活断層研究会編(1991):[新編] 日本の活断層−分布図と資料, 東京大学出版会.
- ・松田時彦(1975):活断層から発生する地震の規模と周期について, 地震, 第2
輯, 第28 巻,pp.269-283.
- ・松田時彦(1990):最大地震規模による日本列島の地震分帯図, 地震研究所彙報,
Vol.65,pp.289-319.
- ・松田時彦(1995):陸上活断層の最新活動期の表, 活断層研究, Vol.13, pp.1-13.
- ・松田時彦・塚崎朋美・萩谷まり(2000):日本陸域の主な起震断層と地震の表−断層と地震の地方別分布関係−,
活断層研究, Vol.19, pp.33-54.
- ・損害保険料率算定会(2000):活断層と歴史地震とを考慮した地震危険度評価の研究〜地震ハザードマップの提案〜,地震保険調査研究47.
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