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1.はじめに

 地震調査研究推進本部地震調査委員会において作成が進められていた「全国を概観した地震動予測地図」が平成17年3月23日に公表されました。防災科学技術研究所では、平成13年4月より特定プロジェクト「地震動予測地図作成手法の研究」を開始し、「全国を概観した地震動予測地図」の作成に資するため地震動予測地図作成に必要な要素技術の開発及び地震動予測地図の作成作業を行ってきました。「全国を概観した地震動予測地図」は「震源断層を特定した地震動予測地図」( シナリオ地震による地震動予測地図 )と「確率論的地震動予測地図」( 確率論的手法による地震動予測地図 )という二種類の予測地図から構成されており、その作成作業では、地震学・地震工学・地質学等の分野における内外の研究者による長年の研究成果と、活断層や堆積平野地下構造等に関する全国的な調査結果とが反映されています。本検討は、全国を概観する初の総合的な地震ハザード評価の試みであると言って良いと思われます。
 この解説書は、これから地震動予測地図を利用される方々のために、まずは地震動予測地図の基本的な内容・特徴を理解していただくために作成したものです。本書は、大きく分けて3つの章から成っています。
 2章では、地震動予測地図とは何か、それを理解するために最低限必要な知識として、地震と地震動、地震の種類、そして、二種類の地震動予測地図の特徴について説明しています。
 3章と4章では、二種類の地震動予測地図について各々解説しています。いずれも、最初にどのような地図の種類と関連情報があるのかを紹介した上で、それらの地図の見方を説明し、更に、地図の作成方法や利用方法についても簡単に述べています。また、地図作成上の今後の課題にも触れています。
 特に、読みやすさのために、1ページごとにまとめる体裁をとっています。


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