3. 地下構造モデルの設定

3.1 地下構造モデル設定の考え方と方針

 地表における地震動予測計算に必要とされる地下構造モデルとしては、図3.1-1に示すように震源から地表までを対象としている。地下構造モデルを作成するには、必要となる資料やモデル作成の手法によって、以下のモデルを設定する必要がある。

  • 伝播経路モデル:震源から対象地域の地震基盤までの広域の地下構造
  • 深部地盤構造モデル:対象地域の地震基盤から工学的基盤までの地下構造
  • 浅部地盤構造モデル:対象地域の工学的基盤から地表までの地下構造
       地震基盤とは、S波速度で3km/s程度以上の地層
       工学的基盤とは、S波速度で400m/s程度の地層

 3.1.1 伝播経路モデル

 伝播経路モデルの対象範囲は、想定地震の断層モデルが平面的にも深さ方向にも十分入る領域とする。したがって、プレート、上部マントル、下部地殻、上部地殻が含まれ、深さは40km程度までを考える。
 伝播経路モデルの設定に際しては、文献調査を行い、最新の知見を反映させることを基本とする。必要なパラメータは、層厚、P波速度、S波速度、密度、 値( )である。

 3.1.2 深部地盤構造モデル

 深部地盤構造モデルの対象範囲は、地震基盤以浅で工学的基盤までの地層を対象とする。深部地盤構造モデルの設定に際しては、伝播経路モデルの設定と同様に文献調査を行い、最新の知見を反映させることを基本とする。
 伝播経路モデルおよび深部地盤構造モデルにおいては、理論的評価手法による地震動の計算を行うことから、3次元のモデル化を行う。

 3.1.3 浅部地盤構造モデル

 浅部地盤構造モデルの対象範囲は、工学的基盤から地表までの地層を対象とする。浅部地盤構造モデルの作成の考え方は次の地震動算出の考え方によって2種類モデルの作成を行った。

  1. 計算対象範囲及びその周辺地域を簡易的な手法によって地震動を算出する方法として、国土数値情報の微地形区分を用いた増幅倍率を求める。
  2. ハイブリッド法によって算出された工学的基盤における地震波形を用いて応答計算によって地表の地震動を求めるための地盤モデルの作成。

 1. については、国土数値情報が基準地域メッシュ(第三次地域区画)(約1km×1kmメッシュ)となっていることから、基準地域メッシュごとに微地形分類を行い、松岡・翠川 (1994) および藤本・翠川(2003) の方法によって増幅倍率を求める。
 2. については、ボーリングデータをデータベース化し、ボーリング1本ごとに1次元の応答計算を行えるようモデル化を行う。必要なパラメータは、層厚、S波速度、密度、動的変形特性曲線( , 曲線)であり、対象地域のデータの収集・整理も行い、解析に利用できるものは利用していく。


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