6.5 地表で評価された地震動の速度最大値と計測震度

 地表で評価された地震動の速度最大値と計測震度についてまとめる。

 6.5.1 地震動の速度最大値

 詳細法工学的基盤で評価された地震動の速度最大値に対し、詳細法工学的基盤から地表に至る表層地盤の速度増幅率を乗じて、地表での地震動の速度最大値を評価した。以下に、その計算結果を示して解説する。

 (1) Case 1

 Case 1について、詳細法により評価された地表での地震動速度最大値の分布を図6.5-1に示す。
 アスペリティからの距離が近い地域、断層の破壊指向性の強い地域、深い地下構造により長周期地震動が励起される地域、表層地盤の増幅が大きな地域を中心に、地表地震動が大きくなっている。特に、両アスペリティの直上やこれに比較的近い大阪湾南岸地域では、速度最大値が約 100 cm/s あるいはそれ以上に達している。
 また、大阪平野や和歌山平野では、深い地下構造により励起されたやや長周期地震動や軟らかい表層地盤の増幅の影響により、周辺の地域に比べて相対的に振幅が大きい。

 (2) Case 2

 Case 2について、詳細法により評価された地表での地震動速度最大値の分布を図6.5-2に示す。
 Case 1と同様の理由により、振幅が大きくなる地域とその定性的傾向が読み取れるが、特に第一アスペリティ付近では複数の要因が重なるためにその傾向が強く、逆に他の地域ではその傾向が弱い。また、断層全体としての破壊が近づいてくる位置にある淡路島南部ではCase 1よりも振幅が大きく、逆に破壊が遠ざかってゆく位置にある奈良盆地ではCase 1よりも振幅が小さい。

 6.5.2 計測震度

 地表で評価された地震動の速度最大値を変換して、地表での計測震度を評価した。以下に、その計算結果を示して解説する。

 (1) Case 1

 Case 1について求められた地表での計測震度の分布を図6.5-3に示す。
 地表での地震動速度最大値の分布と同様の特徴である。アスペリティからの距離が近い地域、断層の破壊指向性の強い地域、深い地下構造により長周期地震動が励起される地域、表層地盤の増幅が大きな地域では震度6弱以上に達し、特に、両アスペリティの直上やこれに比較的近い大阪湾南岸地域では、震度6強以上に達している。大阪平野や和歌山平野では、深い地下構造により励起されたやや長周期地震動や軟らかい表層地盤の増幅の影響により、震度6弱以上と評価された地点も多い。

 (2) Case 2

 Case 2について求められた地表での計測震度の分布を図6.5-4に示す。
 地表での地震動速度最大値の分布と同様の特徴である。アスペリティからの距離が近い地域、断層の破壊指向性の強い地域、深い地下構造により長周期地震動が励起される地域、表層地盤の増幅が大きな地域では震度6弱以上に達し、特に、両アスペリティの直上やこれに比較的近い大阪湾南岸地域では、震度6強以上に達している。大阪平野や和歌山平野では、深い地下構造により励起されたやや長周期地震動や軟らかい表層地盤の増幅の影響により、震度6弱以上と評価された地点も多い。また、断層全体としての破壊が近づいてくる位置にある淡路島南部ではCase 1よりも震度が大きく、逆に破壊が遠ざかってゆく位置にある奈良盆地ではCase 1よりも震度が小さい。


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