6.3 詳細法工学的基盤で評価された地震動の速度最大値

 詳細法工学的基盤で評価された地震動の速度最大値についてまとめる。

 6.3.1 Case 1

 Case 1について、詳細法により評価された詳細法工学的基盤での地震動NS成分の速度最大値分布を図6.3-1に、EW成分の分布を図6.3-2に、水平成分ベクトルの速度最大値の分布を図6.3-3に、それぞれ示す。
 第一アスペリティに近い地域、第二アスペリティに近い地域、第一アスペリティの破壊の前面に位置する地域、大阪湾南岸沿いの深い地下構造が始まる地域を中心に、振幅が相対的に大きくなっている。従って、工学的基盤の地震動は、アスペリティからの距離と断層の破壊指向性や深い地下構造に強く支配されることがわかる。なお、振幅が最も大きい地域のかなりの部分は大阪湾の海底になっている。

 6.3.2 Case 2

 Case 2について、Case 1と同様に図6.3-4図6.3-6に示す。
 第一アスペリティに近い地域、第二アスペリティに近い地域、大阪湾南岸沿いの深い地下構造が始まる地域、大阪湾南西部や紀淡海峡からその西南にかけての深い地下構造の地域を中心に、振幅が相対的に大きくなっている。従って、工学的基盤の地震動は、アスペリティからの距離と断層の破壊指向性や深い地下構造に強く支配されることがわかる。特に、大阪湾南西部や紀淡海峡からその西南にかけての深い地下構造の地域は、Case 1では断層全体の破壊が遠ざかっていく位置にあるためにそれほど振幅が励起されていないのに対して、Case 2では破壊が近づいてくる位置にあるために大きな振幅となり、Case 1の結果との違いが特に顕著である。なお、振幅が最も大きい地域のかなりの部分は海底になっている。

6.4 詳細法工学的基盤から地表に至る表層地盤の速度増幅率

 詳細法工学的基盤から地表に至る表層地盤の速度増幅率の分布を図6.4-1に示す。
 大阪湾沿岸・大阪平野・和歌山平野・奈良盆地・京都盆地・兵庫県南西部沿岸などでは地表に至る表層地盤での増幅が見られるが、その他の大半の地域では殆ど増幅しない。


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