3.2 対象地域の地質環境 本検討では、中央構造線断層帯(金剛山地東縁−和泉山脈南縁)を起震断層とする地震動予測地図を作成するため、中国地方東部、四国地方中央部〜近畿地方〜中部地方西部にかけての地域を検討対象地域とした。 (1)付加体 本地域の地質は東西方向にのびる帯状配列で特徴づけられ、これらの地質の多くは、プレートテクトニクスにより形成された付加体と花崗岩類からなる。MTLを境として、北側の西南日本内帯と南側の西南日本外帯に区分され、紀伊半島〜四国地方の内帯は北から領家帯、和泉帯、外帯は北から南へ三波川帯、御荷鉾帯、秩父帯、四万十帯からなる。これらのうち、和泉層群を除いて付加体である。 (2)和泉層群 和泉層群は後期白亜紀におけるMTLの左横ずれに伴い形成された堆積盆の堆積岩類である。紀伊半島中部から四国にかけて、MTLの北側にほぼ東西方向に細長く分布している。その南限はMTLにより切られ、三波川変成岩類および鮮新−更新統に接している。本層のP波速度は新鮮部でも3.5〜4.0km/sである(伊藤ほか,1996;吉川ほか,1992)。層厚は最大3,000m以上である。 (3)中央構造線沿いの鮮新−更新統 MTL沿いの平野や丘陵地には、鮮新−更新世の未固結な堆積物が分布している。MTLの活動により形成された堆積盆地の堆積物であり、和歌山の紀ノ川沿いでは菖蒲谷層、徳島の吉野川沿いでは土柱層、愛媛県東部では岡村層と呼ばれている。これらの地層は、大阪層群とほぼ同じ時期の堆積物である。徳島平野から鳴門海峡および紀淡海峡で特に厚く堆積しており、層厚は最大約2,100mである(横倉ほか,1998)。 (4)四国・紀伊半島沖の海域 四国沖および紀伊半島沖の大陸棚、前弧海盆(土佐海盆・熊野舟状海盆)、下部大陸斜面には新第三紀〜第四紀の堆積岩類が分布している。その基盤は第三紀の付加体である(地質調査所,1986,1987)。海底地震計(OBS)による地震探査(Kodaira et al., 2000a, 2000bなど)によると、地震基盤に相当する速度層の深さは7〜8kmである。 (5)その他の地質 紀伊半島南部には、新第三紀中新世の田辺層群、熊野層群、熊野酸性岩類が分布している。 |
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