6.3 「有限差分法」による強震動予測結果

 4章に示した9つの断層モデル(図4.64.8参照)における「有限差分法」による地震動予測計算結果平面図を図6.76.9および、振幅値のスナップショットを図6.106.15に示す。
 計算結果には、マッチングフィルターと同じローパスフィルターを適用しており、スナップショットの振幅表示はそれぞれの時間における最大振幅で正規化している。いずれのCASEにおいても、主となる破壊の伝播方向において、ディレクティビティ効果の影響で振幅が大きくなっている。山崎断層帯のCASEでは、断層帯が長さ80kmと大きく、アスペリティの深さも若干浅い部分があるが、地震基盤まで地盤構造が浅く、断層近傍の振幅は比較的小さくなっている。半面ディレクティビティ方向にある神戸市付近においては、地盤構造が深くなることから、断層最短距離が50km以上あるにもかかわらず大きくなっている。また、神戸市南東部の大阪湾において地震動の継続時間に着目すると、断層破壊が始まってから30秒経過した時点でも他の地域と比べ相対的に振幅が大きい。これは地盤構造が厚くなっているためである。スナップショットは、理論的手法(有限差分法)により計算された「詳細法工学的基盤」における地震波(速度振幅)の平面的な伝播の様子をいくつかの時刻で示したものである。計算結果には、ハイブリッド合成法で用いるものと同等のローパスフィルターを施している。また、地震波の伝播の様子を分かり易くするために、振幅値は、任意の速度振幅値で正規化している。いずれの結果においても、ディレクティビティ効果が顕著に現れる破壊進行方向には、強い地震波が伝播していることがわかる。

6.4 「統計的グリーン関数法」による強震動予測結果

 4章に示した9つの断層モデル(図4.64.8参照)における「統計的グリーン関数法」による地震動予測計算結果平面図を図6.166.18に示す。
 計算結果には、0.05〜20Hzのバンドパスフィルターを適用しており、いずれのCASEにおいても、主となる破壊の伝播方向やアスペリティ付近直上において、振幅が大きくなっている。山崎断層帯のCASEでは、断層帯が長さ80kmと大きく、アスペリティの深さも若干浅い部分があるが、地震基盤まで地盤構造が浅く、断層近傍の振幅は比較的小さくなっている。半面ディレクティビティ方向にある神戸市付近においては、地盤構造が深くなることから、断層最短距離が40km以上あるにもかかわらず大きくなっている。


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