5.4 2004年度に震度6弱以上を受けた地点におけるハザードカーブ

5.4.1 概要

 2004年10月23日に発生した平成16年(2004年)新潟県中越地震では、川口町で震度7を記録するなど、新潟県中越地域を中心に非常に強い揺れを経験した。また、2005年3月20日には福岡県沖を震源とする 7.0の地震が発生し、福岡県と佐賀県の一部で震度6弱を観測した。ここでは、この両地震において震度6弱以上を観測した主な地点を対象にハザードカーブを評価し、そのハザードレベルについて考察した。

5.4.2 新潟県中越地震で震度6弱以上を受けた地点におけるハザードカーブ

 ここでは新潟県中越地震の際に震度6弱以上を観測した地点のうち、次の4地点を対象としてハザードカーブを評価した。主要98断層帯での地震発生確率の条件として、「平均ケース」に加えて、「最大ケース」の場合も比較検討した。

  • ○対象地点:川口町(0.91)、小千谷市(1.27)、長岡市(1.45)、十日町市(1.04)
  •       (気象庁発表の震度観測点、( )は地盤増幅率)
  • ○期間:2005年より50年間
  • ○主要98断層帯でのマグニチュードと地震発生確率:
    • 長岡平野西縁断層帯: =8.0、 =0%(平均ケース)、3.9%(最大ケース)
    • 十日町断層帯西部: =7.4、 =2.0%(平均ケース)、2.5%(最大ケース)
    • 十日町断層帯東部: =7.0、 = 0.83%(平均ケース)、1.2%(最大ケース)

 図5.4-1に上記4地点でのハザードカーブを示す。ここで、縦軸を50年0.1%まで表示していることに注意されたい。これらの図において、平均ケースと最大ケースの違いは主として長岡平野西縁断層帯によるもので、この断層帯に近い小千谷市や長岡市においてその差が大きく現れている。
 震度6弱以上を受ける確率は、4地点ともに50年1%〜数%のレベルである。また、震度6強以上となると、小千谷市と長岡市の最大ケースの場合を除いて、いすれも50年1%以下という低いレベルとなっている。すなわち、確率論的地震ハザードの観点からは、新潟県中越地震で経験した最大の地震動強さは非常に低い確率レベルのイベントであったということができる。

5.4.3 福岡県西方沖の地震で震度6弱を受けた地点におけるハザードカーブ

 福岡県西方沖の地震の際に震度6弱を観測した次の4地点を対象としてハザードカーブを評価した。

  • ○対象地点:福岡市中央区舞鶴(1.45)、福岡市東区東浜(1.47)、
  •         前原市前原西(1.45)、みやき町北茂安(1.29)
  •         (気象庁発表の震度観測点、( )は地盤増幅率)
  • ○期間:2005年より50年間

 図5.4-2に上記4地点でのハザードカーブを示す。ここで、縦軸を50年0.1%まで表示していることに注意されたい。
 震度6弱以上を受ける確率は、4地点ともに50年でほぼ1%のレベルである。すなわち、確率論的地震ハザードの観点からは、福岡県西方沖の地震で経験した最大の地震動強さは比較的低い確率レベルのイベントであったということができる。
 ただし、福岡市街に限れば、震度6弱の地域は一部であったと考えられており、震度5強以上を受ける確率レベルで見ると50年でおおよそ10%のレベルである。


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