1. はじめに

 独立行政法人防災科学技術研究所では、地震調査研究推進本部地震調査委員会が「地震調査研究の推進について―地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策―」(平成11年4月)に基づき着手している全国を概観した地震動予測地図作成に資するために、平成13年4月より特定プロジェクト研究「地震動予測地図作成手法の研究」を実施している。
 本研究資料は、全国を対象とした確率論的地震動予測地図の作成手法の検討について取りまとめたものである。
 本研究資料の2章では、確率論的地震動予測地図の作成手法として、地震ハザード評価の定式化、地図作成の諸条件、地震活動の評価モデル、および地震動の評価モデルについて説明している。特に地震活動の評価モデルについては、地震のタイプごとに評価モデルの内容を詳述している。
 3章では、2章で設定した手法・条件を用いて作成した、全国を対象とした確率論的地震動予測地図を示している。全ての地震の影響を足し合わせたトータルの結果のみならず、地震の分類ごとの結果を異なる複数の確率レベルあるいは地震動強度レベルごとに示しており、様々な切り口での考察ができるようになっている。
 4章では、地震動予測地図の融合に関する検討として、影響度の考え方に基づく確率論的地震動予測地図とシナリオ地震との関連付けの定式化を示すとともに、全国の61地点を対象としたハザードカーブと影響度の評価例を示している。
 5章では、全国を対象とした確率論的地震動予測地図の作成にあたり個別に検討した内容を取りまとめている。
 最後に6章では、全国を対象とした確率論的地震動予測地図の作成を踏まえ、次のステップの確率論的地震動予測地図作成に向けた技術的な課題を整理している。
 なお、広義の「地震ハザード評価」にはシナリオ地震を想定した確定論的な地震動評価なども含まれるが、本検討での「地震ハザード評価」は「確率論的地震ハザード評価」のことを指している。


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